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『E=mc² 世界一有名な方程式の「伝記」』ディヴィッド・ボダニス (ハヤカワ文庫)
私は高校生諸君(あるいは意欲的な中学生)と物理、数学を学ぶ際にいつも不満に感じていることがある。それは生徒諸君が質問で持ち込む物理、数学の教科書の内容を見るときである。その内容が実に底が浅く、申し合わせたように、単なる数式の羅列に終始していることにいつも吾輩は吐き気を催すのだ(笑)。これでは、一層の理系離れを加速させるのは当たり前である。西欧中世科学思想を下地に、ルネサンス期を経て、いわゆる17世紀科学革命に至る豊潤な歴史的背景を持って誕生した近代科学の思想的背景を知らずに、ただ、いたずらに物理公式の暗記をすることで目指そうとするものは何なのだろうか、全く疑問である。
さて、本書の中身であるが、これはアインシュタインを紐解けばどんな初頭のテキストでも必ず書かれることになる公式、すなわちE=mc²をめぐる伝記である。すなわち、この方程式を構成するE、m、c、=、² という記号の相対論誕生以前の歴史的背景とその意味内容を深める内容になっている。中学生が読んでも分かる内容構成を踏まえながらも、歴史的相関関係も理解しやすい内容となった好著と言える。吾輩は、中高生諸君はもとより、彼らを指導すべき立場にある教師が率先して読み進めばならない一冊と考える次第である。
尚、一つあえて不満を申すならば、アインシュタイン登場以前にこの宇宙を支配した(?)ニュートン力学の公式:F=maから話を始めてもらいたかったと、贅沢な不満を書き残しておきたい。
『夜間飛行』サン=テグジュペリ(堀口大學訳)(新潮文庫)
新訳が出る中で、
この作品を鑑賞する際の主旋律は、
そう言った意味では、
休み明けの学期末テストは、後半戦スタートの合図です。
『ソクラテスの弁明』プラトン(久保勉訳) 岩波文庫
今日は前回とガラッと変わって、堅めの書をご紹介いたしまする。
いまさら敢えて書評で紹介するような真新しい作品ではないが、
我が輩とこの作品との付き合いは、哲学科在籍時に、
さて、我々はこの作品から、一体何を読み取るべきなのだろうか?
西洋哲学史の解説書を紐解くと、そこには「汝自身を知れ」、「