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2017-08-21 16:54:00
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『夜間飛行』サン=テグジュペリ(堀口大學訳)(新潮文庫) 

 

新訳が出る中で、平成末期のこの時分に敢えて堀口大學による翻訳でこの作品に触れることを吾輩はお薦めしたいと思う。我輩とこの作品との繋がりは、フランス語初中級文法終了後に、カミュの『ぺスト』と同時期に辞書を片手に読んだことを昨日のように覚えている。
この作品を鑑賞する際の主旋律は、任務遂行の背景にある仕事への情熱や意志力と同時に、それらを柔和に支える老獪な知恵とが巧みに織り成されつつ、展開されるストーリー描写にあるのではないだろうか。
そう言った意味では、企業的不祥事が生じる度に頭を下げることでその場しのぎが出来ると、高をくくる経営トップにこそ、じっくり精読していただきたい作品である。もちろん、これから社会に旅立つ中高生には、是非とも仕事をする意味について、また仕事をする厳しさや責任感の重みについて、本作品を通じて感じてもらいたいと思いまする。