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本著は科学史、科学哲学の大家の最初期の作品である。今読み直し
結果的にペストによる、ヨーロッパ中世世界の崩壊が、近代科学の
『日本人の忘れもの全三巻』中西進(ウェッジ文庫)
新年度「令和」命名の中心人物とされる中西進氏の肩肘張らないエッセー本である。
本書は、今から20年ほど前の作品群ということになるが、今読み返しても全く古びない内容であることに驚かされる。
心の豊さとは、一体どういう状態を指す言葉なのか?、物質文化と精神文化とは、今後も絶えず拮抗するものなのか、あるいはどこかに調和点が見いだされるものなのか?、一見衰えたようだが、未だ不誠実な似非学者やポピュリストたちの頭の中を暗躍するグローバリズムという怪物を安楽死させることは可能なのか?、など様々な現代的難題を踏まえつつ、読み進めていく途上、中西氏は遠くは万葉の古代人達から徐々に培い、発酵させてきた日本語の美しさと強かさに我々の視点を注がせ、その多角的な再検討を私どもに促している。
我が輩も、今まで様々な外国語を学習して来たが、外国語習得の支点となる母国語日本語という素晴らしい財産を持ったことに感謝するとともに更なる精進を今後も続けていこうと考えている。
『イタリアの旅から』(多田富雄)新潮文庫
本書は、鋭い文学的素養を持った免疫学者による美術紀行である。
ゲーテの『イタリア紀行』を引き合いに出すまでもなく、今まで数
ページを読み進めて行く途上、死への眩惑すら想起させる太陽、太
故多田富雄氏の描写能力に感謝申し上げるとともに、アルキメデス
『自分のなかに歴史をよむ』阿部謹也
著者は鬼籍に入られたとは言え、未だ大学入試現代文に多用される
この本の書評を書きたかった最大の理由は、何と言っても学問に取
「解るとは、一体いかなることか?」という、誰もが必ず一度は突
もちろん、これに便乗するわけではないが、吾が輩が塾生諸君に常
V6という歌手グループを知らず、V6エンジンと勘違いしていた
純粋に知ること、そのことから感得される喜びもまた「無償の行
高田瑞穂『現代文読解の根底』