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2019-03-09 17:49:00
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自分のなかに歴史をよむ』阿部謹也

 

著者は鬼籍に入られたとは言え、未だ大学入試現代文に多用される人物である。その歴史に対する慧眼は、彼の著作を読み返す度に、吾が輩は新たな視点からその感を深めまする。
この本の書評を書きたかった最大の理由は、何と言っても学問に取り組む姿勢について、著者の体験を踏まえつつ示されているからである。

「解るとは、一体いかなることか?」という、誰もが必ず一度は突き当たる、素朴だが難解なるこの問い掛けに対して、「解るとは、それによって自分が変わることである」という、簡潔にして明快な解答を著者自身の恩師からの提言として示されている。ここの部分だけでも読む価値のある書籍と言える。ご賞味あれ。
もちろん、これに便乗するわけではないが、吾が輩が塾生諸君に常に求める「基礎基本」と同時に必ず一度は実行してもらいたいと考える多読や乱読という国語への関心を早い段階から実行し、深化させてもらいたいと言いたいのだ。極論的に言えば、多読乱読という体験を経ない限りは大学に行ってもらいたいと決して思わない。知的未成熟を纏った身で学問を修めることの意味が今一つ掴めないからだ。
V6という歌手グループを知らず、V6エンジンと勘違いしていた吾が輩ではあるが、このことは騙されたと思って信用してもらって構わない。