『世界がわかる理系の名著』鎌田浩毅 文春新書
本書は特に理科嫌い、あるいはサイエンスに苦手意識を持つ諸氏に是非とも読んでもらいたい「名著」案内書である。生命の世界、環境と人間の世界、物理の世界そして著者の専門分野である地球の世界に関して、内容をただ字面的に簡明に紹介するだけではなく、その名著が出版された後の世界の変化、エピソードと教訓、そしてさらに名著に関連した現代のコラムが様々に引用されながら、幅を持たせたせつつ、読む側を全く飽きさせない内容となっていることに感心する。著者は名物教授として頻繁にマスコミに登場するが、その学者としてぶれない姿勢や一般人への分かりやすい簡潔な事実説明などは、我が輩も日々大いに見習いたいところである。