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2017-08-09 18:37:00
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『八十日間世界一周』ジュール・ウェルヌ(田辺貞之助訳) 創元社SF文庫

 

ジュール・ウェルヌは決して若さを失わない夢見る冒険作家である。
昨今、夢を見るということは、大人はおろか子供さえ中々見いだせないのが現実であろう。特にバブル崩壊以降は、自らの夢を語ることさえ周囲から揶揄される時代感覚が支配する状況である。
この『八十日間世界一周』は年齢を問わず、精密な時間感覚の中で繰り広げられるストーリー展開に知らず知らずに引き込まれる魅力を持った冒険小説であると言える。
ところで、主人公フィリアス・フォッグは結局、何に賭けたのだろうか? それは単なる気晴らしのために、貴族仲間をけしかけてのひと稼ぎだったのだろうか?あるいは気まぐれから来る自己満足だったのか? いやそうではなく、ここではやはり自分の人生への賭けだったと解釈したい。風変わりなイギリス紳士であるフォッグスが賭けて最終的に手に入れたものは果たして何だったのか?さあそれは読んでのお楽しみでありまする。